【1月15日は終了】とくしまの環境を学ぼう(全講座が終了)
1月15日(木)、徳島大学・常三島キャンパスにて、第6回目の公開講座を開催しました(全6回開催の最終講座)。講師は阿部清一さん(杵築技術士事務所)、テーマは「廃棄物の未来」でした。その概要を御紹介します。
➤阿部さんは、長年焼却炉の設計に携わっている。講演では、廃棄物はなぜ発生するか、これまでどのように処理されたか、そして、今後、どのように対応するべきか。データに基づき、わかりやすく話してくれた。
➤人類は、産業革命以降、大量生産・大量消費・大量廃棄を突き進むことで、経済が成長し、物の豊かな時代を享受してきた。その結果、地球上の人口は、18世紀末が10億人、19世紀末の16億人が、20世紀末は60億人と急激に増加した。逆に言えば、急増する人口を支えるだけの食糧やエネルギーを大量に生産・消費するようになったということだ。人類は、20世紀に地球の資源を使い果たす勢いで、地下資源はあと100年で枯渇すると言われる。
➤人口の急増に伴い、ゴミの大量廃棄や公害が社会問題となった。空き地や河川敷などにゴミが不法投棄され、有害物を含んだ工場排水が流出した。その一つが水俣病。平成28年に発生した熊本地震により、原因物質の水銀を含んだ汚泥が保管されている施設のコンクリート壁が壊れ、流出が心配されている。廃棄物は消えてなくならない。今も形や場所を変えて残っている。
➤高度経済成長時代には7年間でゴミの量が2倍にも増えた。だがゴミの埋立場所は限られる。それで、びん・缶・ペットなどを分別して減量し、残りのゴミだけを焼却・埋立することとした。だが、単純に焼却できないモノがある。塩化ビニールなどプラスチック類は塩化水素ガスを発生させて、焼却炉を腐食する難点があるためだ。その一方で、焼却灰はセメントの原材料に利用されたり、貴金属を含んでいたり、再資源化が期待されている。下水施設のし尿汚泥にあるリンも同様だ。
➤日本の人口は江戸時代には3300万人だったが、ピーク時は1億2800万人まで増えていった。その背景には、経済成長がある。資源を輸入して製品を製造し海外に輸出する加工貿易が盛んに行われた。しかし、近年、生産拠点は海外に移転し、失われた30年と言われるほど、低成長・マイナス成長の時代となった。そもそも、今の日本は食糧自給率が著しく低く、鉱物資源もほとんどない、石油等のエネルギー調達コストが高くなり、貿易収支も悪化してきた。加えて、昨今の円安基調で、さらに貿易収支は悪化している。また、国際情勢は緊張しており、レアアースなどは戦略資源と言われ、金を出しても調達できない状況が生じている。
➤こうした中、廃棄物を高温(約1300℃以上)で溶融し、物質の沸点(気化する温度)が違うことなどから物質を抽出する、溶融分離技術の活用が期待されている。地下から採取された鉱物資源は製品化・利用され、そして使い終わった後も埋め立てられるのではなく、溶融分離処理で、再度資源として利用できるようにされる。この資源循環型処理を実現しないと、資源は、地下から採掘されなくなった時点で枯渇してしまう。
➤国は令和6年第5次循環型社会形成推進基本計画を策定し、「循環経済を国家戦略に」する方針を打ち出した。資源のない日本は、焼却ゴミやし尿など、現在、廃棄されているゴミから資源を抽出し、再利用する、資源循環型社会へとパラダイムシフトを目指すこととした。そうしないと、国民生活が維持できない時代になったと国が宣言したのだ。
➤最後に、阿部さんは、「地球上からモノ(廃棄物でも資源でも)はなくならない。形や場所を変えて存在する。そして、結果には原因がある。20世紀は大量生産・大量消費・大量廃棄で進んできたが、これからの時代は違う。21世紀に廃棄物を資源化する取組を進めなければ、日本は維持できなくなるのでないか」と講演をまとめた。


